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【ソウル=溝田拓士】韓国で保守の尹錫悦(ユンソンニョル)政権発足から1か月が過ぎ、左派の文在寅(ムンジェイン)前政権や3月の大統領選を争った李在明(イジェミョン)氏を巡る不正疑惑の捜査が本格化し始めた。政権交代で野党に転じた左派系「共に民主党」は、「報復捜査だ」と反発している。
韓国メディアによると、検察は13日、文政権時代の産業通商資源相が在職時の2017~18年に同省傘下の公社など13機関のトップに辞職を強要した疑いがあるとして、逮捕状を請求した。裁判所は請求を認めなかったが、検察は、大統領府の指示があったとみて、当時の関係者を追及する構えだ。
大統領選で尹氏に敗れた李氏を巡っても、城南(ソンナム)市長時代に許可した宅地開発を巡る不正疑惑に関連し、警察が16日、市庁を捜索した。李氏の京畿道(キョンギド)知事時代に妻が公金を流用した疑惑の捜査も進む。
いずれの事件も文政権下で発覚したが、捜査は進展しなかった。文政権寄りの検察上層部が捜査を止めていたとの見方も出ている。
韓国では政権交代のたびに、強力な捜査権を持つ検察が、権力を手放した前大統領や側近らの不正を追及する歴史が繰り返されてきた。尹氏当選に危機感を強めた「共に民主党」は先手を打ち、政権交代直前、検察の捜査権を縮小する法改正を強行した。施行は9月で、検察は追及を急いでいる。
尹氏は大統領選期間中、前政権などへの「報復を考えたことはない」と発言した。不正があれば、政治判断とは関係なく、追及されるべきだとの考えで、今回の捜査に関しても、正当な判断だとの見方を示した。
ただ「共に民主党」は、捜査の本格化を政治報復と受け止めており、政敵の李氏も、「嫌疑もないのに起訴して打撃を与えようという陰謀だ」と非難した。
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