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ロッテ百貨店が「約束守らず」韓国・釜山で閉店騒動、ずさん経営に批判
https://news.yahoo.co.jp/articles/43d1197d4095a00af0358975d294f31f33d16bdc?page=1
韓国第2の都市・釜山にあるロッテデパートが6月1日に突然営業中断し、閉店の危機だと報じられた。韓国を代表する企業の一つであるロッテグループの、しかもデパートが閉店危機とは、いったい何が起こっているのか。その背景を探ると、ロッテ側のお粗末で杜撰(ずさん)な対応が明らかになったのである。(韓国在住ライター 田中美蘭)
● 繁華街の再開発のため、デパートとタワーをセットで建設
釜山(プサン)市内には現在、ロッテデパートが4店ある。今回の騒動の渦中となっているのはそのうちの1店、ロッテデパート・光復(クァンボク)店だ。ロッテデパート光復店は釜山を代表する古くからの繁華街・南浦洞(ナンポドン)に位置し、周辺には韓国最大の水産市場であるチャガルチ市場や、地元の伝統的な市場として親しまれ、映画やドラマのロケ地にも使われる国際市場などがある。コロナ禍前は日本や中国を始め、海外からの旅行者が多く訪れてにぎわっていたが、新型コロナの感染拡大の影響を受けて廃業を余儀なくされた店舗も多い。かつての活気を失っている姿には、胸が痛くなるものがある。さらに今回のロッテデパートの営業中断危機。地元住民からは不安の声が上がっている。
ロッテデパート光復店がオープンしたのは2009年、元は釜山市の市庁舎があった場所だった。市庁舎の移転に伴い、南浦洞エリアの再開発と活性化のため、ロッテデパートの進出に加え、さらに「ロッテタワー」の建設も計画されていたのである。当初の計画では、「ロッテタワー」は全長428メートル、地上107階建ての高層タワーとして、住居と宿泊施設を含んだ釜山のランドマーク的な存在となると見込まれていた。
そして釜山市は、デパートだけでなくタワーの建設と完成もセットで行うことを条件に、ロッテ側に土地の使用を許可したのであった。
● 二転三転の延期に、堪忍袋の緒が切れた釜山市
前述の通り、2009年にオープンしたデパートは、営業面積2万3097坪。デパートの他に、映画館や屋上庭園、隣接して同じくロッテ系列のスーパーである「ロッテマート」も入店するなど、釜山地方のデパートでは3位、韓国全国でも10位以内に入る規模の大型店舗であった。
しかし、デパートと併せて建設が進められるはずだったタワーのほうは、建設予定地の整備こそ行われたものの、ロッテ側が「事業性確保のための居住施設の建設にあたり問題がある」などとして、2013年に工事の延期を申し出た。その間、釜山市側からの催促もあり、ロッテとの協議も行われたが、ロッテ側はタワーに関する設計の変更や、理由を付けた工事延期などを重ね、年月だけが流れた。さらに2019年にも延期を申し入れている。
そこから3年がたった今年、ロッテは再びタワーの建設を行う気配を見せないまま、デパートがある土地の臨時使用の延期申し出を釜山市に行った。しかし釜山市側がこれにNOを突きつけた形となった。釜山市はロッテ側に「5月31日で施設の承認期間を終了する」と通告、これが「ロッテデパート光復店閉店の危機」と騒がれる結果となったのである。
釜山市の立場とすれば、散々待たされた挙げ句に何度も延期だけされている現状は、話が違う、もうチャガルチ市場が切れた、という心境であろう。そしてやむを得ず、ロッテ側は6月1日に休業を余儀なくされたのである。
ロッテデパート光復店は今後どうなるのか?釜山市民の間で関心が高まっていた中、事態は急展開した。
6月2日、釜山市長のパク・ヒョンジュン氏と、ロッテグループの小売り部門・ロッテショッピングのチョン・ジュノ会長が会談したのだ。2025年までにロッテタワーを完成させることを最優先とさせることを確認。合意の上で、ロッテに対し、ロッテデパート光復店の臨時使用延長を許可し、営業中断を解除することとなった。
わずか一日で問題が(一応の)解決したことで、地元では安堵(あんど)の声も聞かれた。しかしこの数日間の騒動がちょうど、地方選挙期間と重なっていたことから、「選挙に合わせて営業中断の通告と解除をしたのではないか?」と推測する見方も出てきている。
釜山市側としては、営業中断が長期化すれば、3000人ともいわれる従業員の雇用や釜山の地域経済にも悪影響を及ぼしかねないことを危惧し、ロッテにハッパをかけつつ雇用や経済を優先したといえる。ロッテに対して営業中断を突きつけた釜山市の強気な態度に当初は感心させられたものの、たった一日での和解には茶番かと思えてしまい、拍子抜けという感じが否めないのも事実。ささやかれている通り、地方選挙と全く無関係とはいえなくもなさそうである。
● 韓国を代表する企業として、ありえない杜撰さ
大型建築物の計画が宙に浮いて頓挫し、結局は白紙化されてしまうことは時として起こるものであるが、今回のケースについては、韓国を代表する企業の一つであるはずのロッテの対応があまりにもお粗末かつルーズであきれてしまう。「やるやる詐欺」のような有言不実行を重ね、さらに今回の騒動で従業員を失業の危機にさらしたということは、企業としての信頼を損ねる行いといえる。
ネット上でも、ロッテに対して「恥ずべきことだ」「企業としては世界的な知名度もあるのに情けない」「イメージがさらに悪くなった」と厳しい意見が多い。また、ロッテデパート光復店の土地は釜山市との間で貸与契約が交わされているため、他企業がロッテに代わって現地で事業を行うことはできないが、「なんなら、建物はそのままで新世界(シンセゲ)デパートが営業してくれても歓迎だ。ロッテばかりよりも釜山に新世界がもう一店舗ぐらいあってもいいだろう」などという声まであった。
釜山市は2030年のEXPO(国際博覧会)の開催地に名乗りを上げている。しかし、韓国第2の都市ではあるものの、若年層の人口流出や突出した高齢化によりソウルとの格差は開く一方である。釜山市としてもロッテとの対立を長引かせるのは得策ではなく、いち早く事態を打開したいところだろうが、これまでにも度重なる計画変更や、延期がされてきたのにもかかわらず、あと3年でタワーを完成させるというのも現実的とは思えない。数年遅れでタワーが建つのか、今後も同じ事態が繰り返されるのか、あるいは計画が白紙になってしまうのか……。6月下旬現在は通常営業をしているものの、再び釜山市との対立が起こるかもしれないという懸念は拭えない。まだまだ予断を許さない状況と言えそうだ。
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